第28回全国菓子大博覧会・北海道
「あさひかわ菓子博2025」
4年に一度開催され「お菓子のオリンピック」とも呼ばれる全国菓子大博覧会が2025年5月30日~6月15日に北海道旭川市にて行われました。
全国菓子大博覧会は1911年(明治44年)に第一回が開催され、そこから100年以上続く歴史あるお菓子の祭典です。
会場には全国の銘菓を購入することができる「全国スイーツマーケット」、北海道の豊かな農産物に着目したプロジェクションマッピングや、菓子職人が砂糖や飴細工などで作り上げた伝統の工芸菓子90点の展示、北海道の食材を利用した「北の大地グルメコーナー」など、大人から子供まで楽しむことができるコーナーで賑わっています。

会場へ潜入
大雪アリーナへと足を運ぶと、まずは全国の菓子職人が作り出した伝統工芸品がお出迎え。
和菓子のみならず洋菓子も含めた90点の工芸菓子が一か所に集められ、匠たちの繊細な芸術性に触れることができます。


次に見えてくるのは二つのホワイトロックドーム。
ドーム内には「誰もが安心して笑顔でお菓子を食べる事が出来る」という平和を想い、お菓子の包み紙で作られた折り鶴のライトアップを楽しむことができます。
大きなメインドームには約3~5分間のプロジェクションマッピングが投影され、北海道が誇る大自然や広い土地を生かして生産される農作物に焦点を当てた、北海道の恵みを感じられる映像に来場者は「もう一度見たい!」と心を動かされていました。


お菓子の実演コーナーでは公式キャラクターの「シマエ大福」がモチーフとなったどら焼きの他、職人によるクッキーの製造工程も見ることができます。

全国から約1200点の審査申し込みがあったお菓子の中から、名誉総裁賞や内閣総理大臣賞などを受賞した作品が集められました。

北の大地グルメコーナーでは北海道の美味しい食材を生かしたグルメを堪能。
北かりの「とうきびソフトクリーム」や壺屋の「シマエ大福の苺の生どら」は大人気商品です。

実行委員長 水上崇氏(三葉製菓株式会社 代表取締役)にインタビュー

今回、あさひかわ菓子博の実行委員長として運営を担った水上崇 氏にインタビューを行いました。
■今回の菓子博、テーマに込めた思い
57年ぶりとなる北海道での開催となった今回の菓子博。北海道はお菓子の原料となるてん菜糖、小麦粉、小豆、乳製品が豊富に生産されています。そのような特色を活かして、北海道や全国のお菓子やさんも今一度北海道の良さを発信していこうという想いが込められています。そのため、これまでの菓子博では和菓子をメインとしていましたが、今回は北海道には多い洋菓子も大々的に打ち出して開催いたしました。
■旭川で開催することになった経緯
最初は札幌で行う話も出ましたが、前回の三重県伊勢市での開催に続き規模が大きく、開催費用の高騰など負担がかかってしまう懸念がありました。そこで、旭川であれば来場者が駅から徒歩で訪れることができ、またメイン会場とサブ会場の2つを使用してよりコンパクトに実現できると考えました。
これまで大きな都市で開催していた菓子博を地方都市でも十分に行うことができるという前例が出来たことで、今後も継続的にイベントを行うことが出来る可能性を示せたと思います。
■今回の菓子博で苦労した点
今回は規模を縮小しての開催となったこともあり、実際は8億規模のところ4~5億の予算で行わないといけませんでした。今回はプロのイベント企画会社を抜きにして行うと決め、そこから全てを手作りで進める必要がありました。配置や看板、色合い、文字のフォント、レイアウト、照明も1時間かけてどこを点灯するかなど、細かいところも全てプロジェクトメンバー自身で一つずつ確認して決めた点は苦労しましたが、詳細なマニュアルなしで制作ほとんどを手作りでできたことは楽しいと感じました。
■地元の企業や自治体との連携
今回はホクレンさんや、旭川農業高校の学生と一緒に新しいものを作れないかと連携しました。もともと北海道のお菓子屋さんは地元の学生とコラボして新商品を出すという活動を常に行っていることもあり、旭川にはそのような土壌がありました。今回の菓子博でもコラボの話があがり、最近では北海道でさつまいもが採れるため、プリン×さつまいもの商品を出しました。今回はパッケージの考案だけではなく、学生が半年かけて素材の厳選からメニュー開発まで手掛けているため、いつもよりも本気度が違います。
このような取り組みが続いていくと面白いなと思いますし、今後も今までにはなかった素材と掛け合わせた商品が世に出るかもしれませんね。
■今回の菓子博での目玉
プロジェクションマッピングです。もともとのコンセプトは二年前に出し、「北海道の生産地の風景、そこで採れる原料素材がお菓子になり、食べた人が笑顔になって幸せが広がっていく」というストーリーを考えていました。今までの菓子博ではその土地のシンボルをお菓子で作っていて、姫路開催の際は姫路城、前回の伊勢開催の際はお伊勢参りの様子が飾られていました。今回はずっと先まで残すことが出来る映像として表現したいという強い想いがあり、今回の放映に至りました。
■インバウンド、SDGs、健康志向について
インバウンドについてはお菓子屋さんは皆意識していると思います。本業としているかりんとうなど普段スーパーに販売されているようなものをギフト向けにしたり、インバウンド向けのパッケージンにしたりなど需要に合わせて変化していっていますね。SDGsや健康志向については、自然と世間から求められていることであり、そのような志向に合わせていけるかどうかは菓子業界の課題です。そのような流れにきちんと向き合っている企業は長く続く会社の一つになるだろうと思います。
■「砂糖を使う」ということ
砂糖については同じビートグラニュ糖を使っていても使い勝手が違いますよね。仕上げにまぶす用と中に仕込む用など。同じ砂糖で見た目がほとんど変わらなくても、実際に適している用途は異なります。根菜であるビートで作られた砂糖は体を温めるもの(あんこやおしるこ)に向いていて、暖かいところで育つさとうきびで作られた砂糖はどちらかというと体を冷やすもの(夏ものお菓子)に使うのが良いとされています。製造時にそのような特色を分かっていて使えるかどうかは意外と重要なポイントです。
■来場者からのフィードバック
伝統工芸菓子はなかなか見ることが出来ないため、貴重な機会として喜ばれたり、プロジェクションマッピングは毎回拍手を頂いております。実際に鶴の工芸菓子を作られた田中氏は10代の頃に札幌の工芸菓子を見て、自分もやりたいと思ったとのこと。この菓子博に来場した子供たちの中に「自分も作ってみたい」「お菓子屋になりたい」と思ってくれる方がいたら大成功だと思います。
■今後の展望
4年に一度の開催のため北海道ではもうしばらくないかもしれませんが、全国いろんな場所で開催を続けてほしいですね。今回開催にあたり色々なことがありましたが、結果としてこれを機に全体が盛り上がり次はどんなことをしようか、という積極性に繋がっているように思います。今後もその一員として盛り上げていく活動に関わりたいと考えています。
■菓子博を通じて来場者へ送るメッセージ
「お菓子は笑顔の源」。
紛争、地震、災害が起きたときにお菓子は真っ先に作って食べることが出来なくなります。今回折り鶴の募集をしましたが、普段からお菓子を作って食べることが出来ているということがいかに幸せなことか。それを考えてもらうために折り鶴を募集しました。お菓子を見て、食べて、笑顔で幸せな気持ちになってほしいという想いを込めています。

